1. はじめに|「急に職員が辞めてしまったら…」そんな不安、抱えていませんか?
放課後等デイサービス・児童発達支援をはじめとする障害福祉事業所を運営する上で、頭を悩ませる課題のひとつが「人員配置」です。
「急に職員が退職して、基準を満たせなくなってしまった」
「採用活動を頑張っているのに、なかなか人が集まらない」
「人員不足で減算になったら、経営への影響が心配…」
こうした不安を抱えながら日々運営している経営者・管理者の方も多いのではないでしょうか。
そんな中、厚生労働省から「人員基準欠如減算の特例的な取扱い」の方針(予定)が発表されました。この記事では、その内容をわかりやすく・実務目線で解説します。
2. まず結論|一定の条件を満たせば、減算が最大3か月猶予されます
今回の特例措置のポイントを一言でまとめると、
突発的な人員不足が起きた事業所が、採用活動をしっかり行っている場合、1年に1回・3か月を上限として、介護給付費等の減算を猶予が可能
という内容です。

※本記事は、令和8年4月28日(火)開催 第55回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料からの解説になりますが、ここからは、まだ明確に実行時期は明示されていません。
3. そもそも「人員基準欠如減算」とは?
「人員基準欠如減算」とは、事業所に配置しなければならない職員数(=人員基準)を下回った場合に、受け取れる報酬(介護給付費等)が減額される仕組みです。
対象となる職種・サービスは主に以下のとおりです。
・日中活動系
・居住支援系
・訓練系
・就労系
・障害児通所系サービス
原則として、基準を下回った翌月または翌々月から「3割減算」が適用されているのが今までの制度です。(※1)
これは経営へのダメージが非常に大きいものです。
※1
人員基準上必要とされる員数から、
1)1割を超えて減少した場合は、その翌月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで減算され、
2)1割の範囲内で減少した場合は、その翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで減算される。(翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く。)
4. 今回の特例措置|3つの要件をすべて満たすことが必要
特例の猶予を受けるには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
✅ 要件①:突発的でやむを得ない事情による人員不足であること
- 事前に予測・対応が困難だった事情によるものに限られます
- 計画的な退職は対象外になる可能性があります
✅ 要件②:人員欠如が「1割以下」であること
- 人員基準上の必要な員数から1割を超えて下回っている場合は対象外です
✅ 要件③:「ハローワーク等を活用した採用活動を行っていること」又は「一部の職員へ過度な業務負担とならないよう、適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図ること」
- 「採用しようとする努力」が必要です
- ハローワークへの求人登録など、具体的な取組みの記録を残しておくことが必要と考えます
そしてこれらの判断は各指定権者に委ねられますので、個別事情に合わせて対応になると思います。
5. 特例の内容|猶予の期間と回数
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 猶予できる期間 | 3か月を超えない範囲 |
| 利用できる回数 | 1年に1回のみ |
| 減算の種類 | 介護給付費等の減額(原則3割減算) |
| 対象外 | 1割を超えた人員欠如 |
今回の特例は、「1割以内の欠如」に対する特例的な猶予です。1割を超えた欠如には適用されません。
6.正直なところ|この特例、実用性はどうなの?
今回の特例は、条件がかなり限定的です。
- 「突発的かつ想定困難」という要件は、判断が難しいケースも多い
- 1年1回・3か月以内という制限もある
- 1割超の欠如には使えない
「これさえあれば安心!」という万能策ではありません。
ただ、今後さらに柔軟な対応への拡充も期待されますし、何より「こういう制度がある」と知っているかどうかで、いざというときの対応が変わります。
7.まとめ
今回の特例措置を整理すると、以下のとおりです。
- 突発的で、想定困難な、やむを得ない人員不足で1割以内の欠如が発生した場合
- ハローワーク等による採用活動を行っている事業所は
- 1年1回・最大3か月間、減算が猶予される
条件は限定的ですが、「知っているかどうか」が大切な制度です。経営を守るためのひとつの選択肢として、ぜひ頭に入れておいてください。
※参考資料
令和8年4月28日(火)開催 第55回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72919.html
>「資料3 やむを得ない事情における人員欠如に係る特例的な取扱い(報告)」
本記事は、厚生労働省が公表した「障害福祉分野における人員基準欠如減算の特例的な取扱い」をもとに、弊所が解説したものです。制度の詳細・最新情報は必ず行政機関の発表や管轄の自治体にご確認ください。

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