令和6年度報酬改定後の動向徹底解説(放課後等デイサービス)

令和6年度の障害福祉サービス報酬改定を受け、提供体制や利用実態に大きな変化が見られます。
2025年6月25日開催 第47回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「厚生労働省 「令和6年度報酬改定後の主なサービスの動向について」を元に、その動向をわかりやすく解説します。

 

① 事業所数の推移

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行政処分や経営上の理由から廃業するケースもある一方、資料では、事業所は増加傾向であることが報告されていることから、現在も一定の開設ニーズはあることがわかります。

② 定員構成・障害支援区分の傾向

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区分2(学校休業日は区分3)が多くなるのもうなづけます。逆に、区分1もある程度算定があるため、状況も様々なところ短時間の支援となる理由があると思われます。
私のインスタグラムでアンケートをしたところ、学校終了後の利用でサービス提供時間の終わりころからの利用になる時間が7割を占め、次いで個別療育である事業所という結果となりました。

過去の報酬改定を振り返ると、令和6年度の一つ前の大改定だった平成30年度の大改定は、令和3年度に前回改定をもとに整理された形となり、令和6年度の大改定をもとに、次の報酬改定で枠にはめてくることが考えられます。(大きな改定は、医療・介護・福祉がかさなるときで3年に一度の報酬改定の大きな波は6年に一回訪れる形)
平成30年度の報酬改定で導入された指標該当区分の基本報酬は大不評で、事業所によっては1割以上の報酬ダウンなどもあり、令和3年度の報酬改定でなくなりました。今のところ、平成30年度報酬改定ほどの声はあがってはいない印象ですが、令和6年度の時間区分による基本報酬が、次の報酬改定でどのように変わってくるか、今後の検討会等の動向をチェックしていきたいところです。

③ 報酬構造のポイント

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基本報酬、加算も増加傾向でありますが、処遇改善加算が大きく伸びていることもわかります。
専門的支援実施加算が令和6年4月→同年12月で微増しているのは、専門的支援体制加算は体制として難しいけれど、専門的支援実施加算は算定できる状況であったり、専門的支援計画書作成における業務負担軽減のためのソフトが出てきた影響もあるかもしれません。

次に、児童指導員等加配加算、専門的支援体制加算、専門的支援実施加算も少しだけふれておきます。

児童指導員等加配加算

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令和6年12月ベースでみると、事業所数に対する加算取得率は、は95%ほど。

そして、常勤・専従経験5年以上、次いで常勤・専従経験5年未満が圧倒的に多い。
令和6年度報酬改定で、加配加算の人員は別に配置する体制が主流となり、配置上も分けて考えた方がシフトの組み合わせも楽になりやすい傾向があります。
(常勤換算だと、「この日は基準人員、この日は加配人員」とパズルになるので、複雑な人員体制だと知らない間に不正請求になっている可能性も…)

専門的支援体制加算

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令和6年12月ベースでみると、事業所数に対する加算取得率は45%ほど。また、児童指導員等加配加算を算定している事業所のうち、専門的支援体制加算を算定している事業所は50%ほど。

専門的支援実施加算

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令和6年12月ベースでみると、事業所数に対する加算取得率は30%ほど。専門的支援体制加算よりダウンしていることから、要件の細かさや業務負担も影響している可能性は考えられます。

ちなみに、今回は放課後等デイサービスについて解説してますが、当事務所と契約をいただいている事業者様が閲覧できる専用ページでは、他サービスについても順次解説を掲載しています。もし、ご興味のある方はお問い合わせください。

④今後の展望と利用者への影響

これらのデータをを踏まえると、事業所の報酬体系として目指すところは、

基本報酬、児童指導員等加配加算(常勤専従・経験5年以上or常勤専従・経験5年未満)、専門的支援体制加算、専門的支援実施加算、処遇改善加算
(基本報酬、児童指導員等加配加算(常勤専従・経験5年以上or常勤専従・経験5年未満)、処遇改善加算 は最低ライン)

専門的支援体制加算、専門的支援実施加算を算定できる体制ができることで、支援の質もあがり賃金アップにつながる。
そして業務負担がかかりやすい専門的支援実施加算や人員体制の整理にかかる労力により、業務効率を上げる必要性があるからこそ、処遇改善加算の職場環境等要件の一つである生産性向上の取り組みが重要になってくる。

このような関係性がつながってきていると思われます。それに伴い事業所側の負担・運営コストも増加しています。
放課後等デイサービスの利用環境は着実に整備されており、今後も制度的手立てが講じられることが予想されます。
一方で、事業所体制のあり方、人材の確保といった課題への支援も不可欠になってきます。

 

参考資料:2025年6月25日開催 第47回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「厚生労働省 「令和6年度報酬改定後の主なサービスの動向について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59104.html

 

 

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